上手に手を抜く
2007/04/17 12:00:00
社長の独り言先月、弊社としては大きな物件が無事完了し、今月になっても大きな問題もなく無事稼働中です。
規模的にも戦略的にも弊社の命運をかけたといっても過言ではないお仕事でした。
実はこの物件、開発に関しては担当SEに任せきりで、私からはほとんど手も口も出さなかったのです。
辛くてプレッシャーの大きい仕事だからこそ、SEを成長させるにふさわしい数少ない仕事であり、また、一人で戦う経験をさせないと、SEはなかなか育たないと考えたからです。
もちろん私なりに進捗の状況、要件を満たしているか?、システムのクオリティは問題ないか?等の最低限のチェックはしてきましたが、
質問や相談がない限りこちらから助け舟を出すことはしないと最初から決めていました。
一歩間違えれば担当者と会社が心中しかねないリスクもはらんでいたんですね。
元々このお仕事は、受注段階から納期的にも工数的にもギリギリでかなり無理のある条件を覚悟の上でお受けしたお仕事でした。
さらに初旬の設計段階においていくつかの外的な要因で進捗が遅れ気味になり、クライアントのご希望される納期と仕様を満たすにはかなり厳しい状況に追い込まれていました。
それでも私は、開発途中で『この仕事は大丈夫だ』という確信を持ちました。
数字的な判断ではなく、あくまでもSEとしての勘なんですが。結構外れないものなんですよ、これが。
大丈夫だと感じた理由はただひとつ、
弊社のSEの『手の抜き方がうまい!』と思ったから。
ソフトウェア技術者、特にプログラマは真面目であるほど、不要な所まで品質にこだわってしまいます。これは根っからの技術者であれば仕方がないというか、職人の本能というか。
しかしながら、我々はボランティア団体でもないし、趣味でシステムを開発しているわけもはありません。限られた時間、予算、工数でクライアントの要求を満たし、しかも利益をあげなければなりません。
最悪なのは不要な箇所にこだわりすぎて時間が足りなくなり、本来品質を落としてはいけない部分のクオリティを落としてしまったり、納期に間に合わなくなること。
上手に『手を抜く』とはいい意味で、省力化を図るということです。トータル的に考えれば、開発の短期化、全体的なクオリティアップにつながるんです。
抜くべきところで手を抜けない技術者や、手を抜いてはいけない部分で手を抜いてしまう技術者には、慢性的に納期送れやバグが多いという傾向があるように思います。
今回の場合は『手を抜く』為の判断が早い時期で、しかも的確でした。
一つの例をあげるならば、まずクライアントの日次業務で不可欠な入力・更新系の機能を作りこんで重点的にデバッグをしておき、月次集計や年次作業などのバックヤードの業務周りを後日納品するようにしたことです。
お客様の業務に影響がないのであれば、最終的な検収やご入金時期の営業的な交渉と経営判断さえできれば問題ないわけです。そこはもちろん私が引き受けました。
さらに言えば、最終的な交渉毎を、私に、断りにくいタイミングと内容でレスキュー依頼してきたこと。
これには参りました。私にはNOという選択肢がないわけですからね(笑)
営業や上司をうまくあしらう・・・のも『上手な手の抜き方』の一つですね。
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