【読書のススメ】藤木美奈子:女子刑務所 女性看守が見た「泣き笑い」全生活
2007/01/19 12:00:00
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女子刑務所 女性看守が見た「泣き笑い」全生活
著者:藤木美奈子
発行:講談社文庫
新米看守時代の著者が、塀の中で繰り広げられる日常を書き綴った実話。受刑囚同士のトラブル、看守と受刑囚の人間関係、看守同士・職場内でのイジメなど。受刑囚にかんする話題は予想外に明るいものや涙をさそう話題が多く、ドロドロとした昼ドラみたいなストーリーと思っていましたが、いい意味で予想を裏切られました。むしろ看守同士の職場の話題がドロドロ系。
印象に残った箇所を抜粋
刑務所に長年勤めている看守にはバランスの取れた人が少ない という状況を紹介するくだり。
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刑務所に勤めていると、自分自身がよほど気をつけない限り、視野や世間が狭くなる。その世界しか知らない人間になる。海千、山千の人間に「先生、先生」とおだてられているうちに情熱や向上心などが失われ、人に対する思いやりや配慮、謙虚さが姿を消し、そのぶん横柄になったり、感情的になったり、ひどくバランスを崩していくというのは、先輩たちがいい見本だった。
「先生」と人に呼ばれる人間は、よほど注意して自己を戒めなければ、知らず知らず人間としての平衡感覚をなくしていくものだ。
=====中略=====
もと教師、という人間に限ってバランスがとれていないうえ、権威主義者であり体制主義のかたまりであるのはめずらしくない。おまけになぜかコンプレックスも、人一倍強かったりするから皮肉なものである。
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感想
私も「社長」と呼ばれる立場、自らを戒めることの大切さを痛感しました。
著者が失敗をしながらも、社会人として成長していく姿に共感できます。仕事への情熱を失いそうな人におすすめです。